図書館

京都大学附属図書館ラーニング・コモンズを巡る協働の経験から

2014年度第20回FDフォーラム報告集「【第13分科会】大学図書館からの学習支援の工夫~連携を視座に~ 」 pp.389-394

大学図書館による学習支援のひとつの様態として、多くの大学でラーニング・コモンズの整備が進みつつある。京都大学附属図書館内に20144月にオープンしたラーニング・コモンズは、その企画・設計を図書館員のみで行うのではなく、教員、学生との協働により行ったことが特徴としてあげられる。今回の発表では、協働に至る経緯、協働の実際、協働における課題と今後の展望を述べることで、大学図書館におけるラーニング・コモンズを媒介にした連携のあり方を検討する材料を提示した。

まず、協働の前段階として、平成24年度中に、ラーニング・コモンズ設置をはじめとする館内ゾーニングの変更が計画され、附属図書館の複数部署に渡る職員及び研究開発室教員でワーキンググループにより、学内予算要求のための基本コンセプトを作成した。ついで、平成25年度に予算化がなされると、具体的なプランニングに教員や学生らの幅広い意見を取り込むこと、また、空間デザインのみならずそこでの「学び」をもデザインすることを目的として、京都大学学術情報メディアセンター「コンテンツ作成協同研究」の枠組みで検討を行うこととなった。さらに、「協同研究」メンバーである教員のつながりから、京都大学デザイン学大学院連携プログラムの授業である「FBL/PBL:学習環境のデザイン」と連携することとなり、図書館員、教員、学生からなるメンバーの協働が実現することになった。

協働においては、まず図書館側がラーニング・コモンズとして実現したい機能、実現したくない機能といった機能要件、そして「利用者間の創発を生み出す」、「図書館の資料・サービスへ接続する」といった空間の性格付けを提示した。その後、協働メンバーによる館内状況の調査や学生からのヒヤリングを行った。その上で、メンバー間でメールやミーティングによるコンセプトのすり合わせを行いながら、造作物設置を含む空間デザインや什器選定などにおいて、メンバー学生による提案の具体化を検討していった。その際、教員は学生のアイデアを実現するサポートを行い、図書館員は予算面や利用上の観点から評価をし、館内意思決定の段取りを行う役割を果たした。その中で、検討の過程から将来的な使われ方も含めて、「学びの実験場」であるという当館ラーニング・コモンズのコンセプトが創出された。

こうして完成したラーニング・コモンズは、約455㎡と決して大きなものではなく、他大学に比して開設時期も早くはないが、木製造作物「クスノキ」に象徴されるユニークな空間となっている。また、利用はグループによる討議などが主であり、かつ平日午後には平均50名以上の利用者が見られるなど、活発な学びの場として機能している。これをして協働の成果とするのは早計であるが、協働メンバーを核にしたさらなる館内改修計画の検討、図書館をフィールドとした「FBL/PBL」の継続など、発展的、継続的な展開がなされている。

さて、こうした異なる文化を背景とするメンバーの協働においては、実現したいことの相違から、意思決定のあり方やスピード感に至るまで、様々なコンフリクトが生じ得る。しかしながら、それは最終的に実現したい像を共有すること、そして、それぞれが持つコンテキストやリソースを提示することで解消できる。また、新しい機能空間を生み出すにあたっては、そうした協働の過程自体を意義あるものに転化し得ると考える。さらに、そのような過程を経て出来たラーニング・コモンズは、現在、図書館の発展的変化のコアとして機能しつつあると認識している。

参考文献:特集「LEARNING COMMONS OPEN!. 京都大学図書館機構報静脩. 51(2):2014.7

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研修ってなんだろう (INFOSTA Forum 第260回)

「情報の科学と技術」62(8)(2012/8)掲載

 明日はフレッシュな図書館員が集まる研修会での講師を仰せつかっています。講師として、いただいたお題をうまくお伝えできるか思案しながら、「研修」というものについて、あれこれ考えてみました。

 私が働く図書館業界では、いろいろな研修がたくさん行なわれています。例えばNIIやNDLなどの機関が研修事業として催すもの、また図書館関係の団体や学会が行なうものなど。INFOSTAが開催されている研修会・セミナーもそのひとつですね。「わざわざ休みの日にお金を払って勉強しに行くとは・・・」と言う友人もいますが、研修の多さは勉強熱心な人が多いことの裏返しでもあるのでしょう。

 では、まず参加する立場から見たとき、こうした研修の意義とはなんでしょうか。まずはそこで新たな知見を得られることがあげられます。しかし、研修はそうした知識を得る「きっかけ」としては有効かもしれませんが、実際のところ、研修に参加しなくても得られる知識は少なくありません。また昨今、終了後にはウェブ上で資料が公開されることが多くなっていますし、TwitterやUstreamなどで、リアルタイムの様子を知れることさえあります。となると「わざわざ出かける意味」を小陳さんが言われるように(Infosta Forum第232回)、講師に質問をするなどして発言をすること、そして、懇親会があれば出席して講師や他の参加者と交流することにこそ、研修に参加する主たる意義があると思うのです。さらに、可能ならば、他の業界の研修に顔を出すことも必要かもしれません。思えば、次回執筆いただくアーキビストの福島さんと知り合うきっかけも、図書館業界の少し外側の研修会だったかと思います。やはり私たち情報を扱う職種ほど、研修会のような機会を利用して、より広く交わる意義があるように感じます。

 つぎに、これは今まさに私の課題なわけですが、講師として話すことはどうでしょう。時にはこうしたお役目をいただくようになり、また講習会を担当している今の仕事柄、人前でお話をする機会が多くなっているのですが、もともとはなるべく前には出たくない性分でした。ところが、こうした機会を経験するごとにあまり緊張をしなくなり、アドリブもできるようになりました。現在、図書館員も「伝える」ことがますます求められるようになっています。そこで、伝えるスキルなどを難しく考えるより、習うより慣れろではないですが、まずは場数を踏むことも必要かと感じます。また何より、講師をすることはそのテーマの知識を得るよりよい方法です。質問をいただくことまで考えると、中途半端な準備では前に立てませんから、がんばって勉強せざるを得ません。同じく研修に参加するならば、もし機会が回って来たときは、参加者としてより、講師として参加することをお薦めしたいと思います。

 最後に、こうした研修を企画することについて考えてみます。また自分の話で恐縮ですが、お誘いいただいて図書館関係の団体に関わるようになり、いつの頃からか運営に携わるようになりました。そこでは、講演会やセミナーといった研修の催しの企画も行ないます。そしてそちら側に回ると、今までなんとなく参加していたり、生意気にも、旧態依然とした運営だなぁと思っていたりした研修も、別の目で見られるようになりました。つまり、例えば、せっかく講師に質問ができる機会なのに、誰も発言してくださらずやきもきする司会者の気持ちなどが理解できるようになったのです。さらに、ただ参加するより、研修を企画して実現するほうがずっと楽しいことも分かりました。もちろん、組織として運営する以上、面倒なことはたくさんあります。しかしそれ以上に、皆で研修のテーマを考えること、講師を探すなどの準備をすること、そして最後に参加者の皆さんからよい評価をいただけることのやりがいのほうが大きいのです。
 
 さて、こうして考えてみると、「研修」というものはより深く関わったほうが得るものが多いし、おもしろいものです。とはいえ、得手不得手や関われない状況などはあるでしょう。ただ、今行なわれている多くの研修は、これまでの蓄積と継続の上に成り立っているものだと思います。そしてそうした場は、自分たちで作り、守り、さらに育てていくものなのではないでしょうか。ですから、できることならその場に参加し、発言し、ときには講師側になり、可能ならば作る側でもありたいと考えるのです。
 
 では、明日は、講師として参加者の皆さんにうまくお伝えできること、また、いっしょによい研修会を作れること、そして懇親会で美味しいお酒が飲めることを願って筆を置きたいと思います。

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書評 『デジタル文化資源の活用 : 地域の記憶とアーカイブ』 NPO知的資源イニシアティブ編 勉誠出版(2011)

「図書館界」63(6)(2012/3)掲載

 近頃、MLA(Museum, Library, Archives)連携を巡る議論がかまびすしい。こうした状況の背景には、連携の基盤としての資料のデジタル化やネットワーク化の一層の進展とともに、財政緊縮に伴う運営面からの危機感もあろう。ではそうした中、MLA連携とはいったい何を行うことを指すのだろうか、そして連携の先にはどのような像が結ばれるのだろうか。近年、主なものだけでも数冊のMLA連携を扱った図書が出版されているが、本書はその中でMLA連携を一つの切り口とした政策提言の書として読むことができる。

 ここで本書の構成を紹介する。まず、青柳正規(国立西洋美術館長)、高山正也(国立公文書館長)、長尾真(国立国会図書館長)の三氏による各組織のトップの視点と立場からMLA連携のあり方を語る鼎談を第1部に置く。続く第2部と第3部では、総勢11名の著者による論が展開される。第2部は「「連携」から「活用」へ」として、MLA連携の課題と展望とともに個別の事例を述べる。第3部「求められる制度と政策:デジタルアーカイブの構築を目指して」は、本書が構想するMLA連携像とともに、その実現のための制度設計を示す。以上により、NPO知的資源イニシアティブが開催したMLA連携の方向性を探るラウンドテーブルを元に「一連の議論と実践で明らかになってきた課題を明確にし、その課題を解決していく上での方向性を提示すること」に重点をおいている(岡本真氏「まえがき」)。

 さて、MLA連携を扱う類書を見ると、相互の類似点と相違点を巡る議論とともに、様々な個別の取り組みが紹介されている。ここからはMLA連携が実際には簡単ではないことが読み取れよう。例えば本書巻末にも、MLAの現状を職員数や来館者数、予算規模等から対比する「関連資料」が付されている。ここで館数をとって見ても図書館の4592館に対し、博物館は1356館、文書館にいたっては73館に過ぎない。こうした規模の違いは、具体的な連携におけるモデルを描きにくくするものだろう。松永しのぶ氏は「文化機関が連携するために」で、こうしたMLAの現状を整理するとともに、それぞれが扱う資料の性格、拠って立つ制度、職員の専門性の違いを指摘する。さらに言えば、例えば同じ図書館における公立図書館と大学図書館間のLL連携一つをとっても、制度的な課題等はもとより同一館種内に閉じがちな職員の意識もあいまって、具体的な連携はたやすいものではない。

 また、「図書館を核にしたMLA連携」として、慶應義塾大学におけるいくつかのチャレンジングな取り組みを紹介する入江伸氏は、多様な連携は必須としながらも、現状のMLA連携が広範な組織間の連携につながっておらず、かつ連携が必要な具体的プロジェクトも進んでいないとする。これは、先に述べたようにMLA連携として紹介される事例が個別の取り組みであり、その先にある連携の具体像が見えにくいことと通底する。さらに「学内における連携の取り組みは、組織や所蔵資料の再編へ直結する可能性を持つため難しい面がある」とし、明確なグランドデザインを欠く安易な連携の危険性を指摘していることには、留意すべきだ。

 ところで、本書のタイトルにもあるようにMLA連携の議論でキーとされるのは、資料のデジタル化である。しかしながら、90年代以降の大学図書館において取り組まれてきた資料の内製電子化による電子図書館が必ずしもメインストリームとなっていないように、利用と一体的なデジタル化でなければ、一部のかつ内向きの取り組みになってしまうだろう。もちろん増加し続けるボーンデジタル資料への対応は必要だが、技術先行の個別的な取り組みに陥ることのないよう、標準化と併せたMLA間の実質的な連携基盤の整備やMLAの外側との関係性も連携を巡る議論においては重要である。境真良氏が「デジタル化と著作権制度」で提案する文化資源としてのデジタルコンテンツを巡るライセンスモデル構築の議論もその一環であろう。また、第1部の鼎談で司会の吉見俊哉氏が「MALUI連携」として、人材育成の場としての「University」との連携、財政的な裏づけと人材活用のために「Industry」との連携の必要を訴えるのもこうした観点による。

 さて、ここまで連携の難しさを述べたが、一方で「内なるMLA連携」として岡野裕行氏が事例を示す文学館のように、従来MLAの要素を内包している施設も少なくない。また、歴史的、制度的経緯から分立しているMLAであるが、デジタル化の如何を問わず、資料を蓄積、整理、提供する社会における装置として、本質的な役割に変わりはないものである。以上を踏まえて、本書が提示するMLA連携のキーを3点あげる。「公共」という枠組み、「デジタル文化資源」という対象、それを支える「文化情報コーディネーター」という人材像である。

 南学氏の「「新しい公共」の概念とその構築」と藤原通孝氏の「指定管理者制度を超えて」では、従来の「公立」図書館が蔵書数や貸出し数を主要な活動指標としてきたこと、その役割が情報提供主体や情報収集手段の多様化により「情報提供の公共的空間」に変わりつつあることを指摘する。そこでは、いわゆる官製ワーキングプアの温床ともされる指定管理者制度もその最適化と評価制度の確立を前提に、一つの経営モデルとして示される。官が各種の事業を担う必然性が厳しく問われている今、官立MLAには経営感覚とともに、MLAという装置が担う役割への明確なビジョンが求められている。

 ここで、本書においてMLAが今後担うべき役割として示されるのが「デジタル文化資源」の構築と提供である。「デジタル文化資源構築の意義」において柳与志夫氏は、電子書籍を例に「マルチメディア化、オープン化・ネットワーク化、可変性、断片性と蓄積性、編集性」をキーワードに、今までパッケージに閉じ込められていた「文化資源」、つまり知のデジタル化における可能性を示す。しかし、言うまでもなくデジタル化されただけでは、文化資源とはなりえない。そこで、その文化資源としての社会的位置づけを担保するのが「公共性」という概念であり、それを支える装置としての役割が公共的利用を前提とするMLAに共通するものとされる。このような議論は、情報・知識の世界に構造変化が起きているとし、今後の図書館の方向性を論じた柳氏の前著(『知識の経営と図書館』勁草書房, 2009)から一貫したものであろう。

 また、こうした今後のMLAという装置とその連携という仕組みを支えるべき人材として、福島幸宏氏が提示するのが「文化情報エディター」、「文化情報コーディネーター」というモデルである。「地域拠点の形成と意義」では、パッケージ化されずに地域に遍在している多様な文化資源を「プレ文化情報資源」と位置づける。そしてそれらを収集、保存し「文化情報資源」として活用するスキームが示される。それは、地縁を生かしたローカルレベル拠点である「地域サテライト」、ついでリージョンレベルで中核都市単位の既存MLA施設が担う「地域拠点」、さらにナショナルレベルとして全国に数箇所設けられる「広域圏拠点」の3階層モデルである。まず地域サテライトは町・村の文化拠点としてボランティアベースで運営される。一方、地域拠点と広域圏拠点にはそれぞれ文化情報エディター、文化情報コーディネーターが配置され、従来の司書や学芸員の役割に加え、情報や人のつながりを編集し、コーディネイトする役割も担うという。ここでは地域への視点とともに、MLAの組織と人材の融合的あり方が主張される。もっとも各地域の特性や制度上の課題もあり、統合的モデルの構築には課題も多い。しかし、西口光夫氏が「地域情報は住民のなかにある」として述べる住民を巻き込んだ北摂アーカイブスの活動は中核市におけるモデルの一つであろう。また、「文化施設連携の効能と課題」で松岡資明氏が紹介する大阪を拠点としたエル・ライブラリーによる労働関係資料の収集活動や新潟県十日町市における古文書や写真といった地域資料を巡る地域住民と十日町情報館(市立図書館)の活動事例も都市や地方でのモデルといえる。

 続けて佐々木秀彦氏は「新しい担い手の創出」の中で、「文化情報コーディネーター」の養成モデルを論じる。また、文化資源を構築整理し、価値を付与して提供する従来の専門性とともに、求められる資質としてコミュニケーション力やマネジメント力を強調する。ここでは、文化情報のスペシャリストでありながら、狭い専門性に閉じこもらないファシリテーターとしての専門職像が求められている。

 最後になるが、冒頭の鼎談のタイトルは「記憶のちから」である。東日本大震災後にものされた本書の背景には、デジタル化等の状況における文化資源活用の可能性とともに、社会の記憶を如何に次世代に残すのかというMLAの本質への問いがあるように思う。そうした本書は、MLA連携のあり方はもちろんのこと、これからの図書館のあり方を構想する手がかりの一つにもなるだろう。

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Ku-librarians勉強会 第17回「五研共通図書室から宇治分館への移行 / 杉本裕美」(2001年2月22日) まとめ・感想文

 宇治分館への移行過程、分館の実際、分館のこれからの課題、と冒頭に提示されたとおりに体系的に話が進み、時間を感じさせられない発表でした。また、パワーポイントによるプレゼン資料も見やすく構成されたものでした。「移行過程」を説明する出典の示された各資料は説得的でしたし、分館化前・後の資料配置や人員構成の変化も整理された見せ方で、たいへん分かりやすかったです。「分館の今」はデジカメ写真を多用されており、決してよろしくない(!)現在の環境を示すには「”一見に如かず”効果」あり、ですね。「これからの課題」については、いろいろ難しいところもあるのでしょうけれど、もう少しつっこんだお話を聞けたらな、と思いました。杉本さんのお話の中で、物管や予算が一本化された時に本来の意味での分館化が完成するのでは、という旨の指摘がとくに印象的でした。現在はそうした諸々の矛盾のしわ寄せが、第一線に来てしまっている状態なのかなと想像します。

 #シス管なども関係した、宇治統合にあたってのiLiswaveがらみの話から。五研一センターがそれぞれ、予算・部署・配置等のコードを持っていたため、それを再編成して一本化する作業が発生しました。トータルシステムということで、同じコードがDB上のいろいろな個所で使われてたり、各サブシステム間の関係などから、こうしたケースは簡単にはいかないところがあります。今後、組織統合のケースが増えてくる可能性を考えると、システム設計も組織改変に柔軟に対応できるものでないといけないのかもしれません。(というか、組織に合わせてシステムを設計、運用しようとするところからなんとかすべき・・・。)

 発表を聞きながら、また終わってからの質問の時間で特に感じたのは、お互いの仕事の内容やどんなサービスしているかを知らないなぁ、ということです。私たちの間でさえそうなのですから、各図書室どうしでは、いわんや、他の京大構成員は・・・! 私自身では、自分の仕事を人に説明しろ、と言われると、正直言ってかなり心許ないことを自覚。しかし、「身内」以外にも「何を何のためにしているのか」を説明できるということが、ますます必要になろうこれからです。今回のように、自分の仕事や図書館の仕事を総括し、それを共有できる機会としてもたいへん有意義な場であることを再確認した次第です。

 これからの図書館のグランドデザインを進めていくなかで、ポリシー・人・予算の三位一体というあり方は、足元をすくわれないためにも大事なことだと思います。また、現在にあっても旧来の枠に縛られがちな各組織の発想を、図書系の視点から変えていければな、と考えます。そうした意味でもひとつのモデルケースとして、宇治分館の経験は、京大図書系にとって貴重なものではないでしょうか。

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Ku-librarians勉強会 第40回「討論会:図書館と広報について考える / 藤原由華」(2003年1月31日) まとめ・感想文

 当初、「広報=(Public Relations)」の定義が確認された。"PR"というと、「宣伝」という言葉に結びついて、一方的なイメージを持っていたが、元来、「相互の良好な関係づくりを目指すために行う、双方向性を持つもの」であるということが確認できたことは、「広報」の意味を捉えなおすきっかけになった。

 「PRの方法」は、以前、勉強会MLでも話題になったこともあったが、今回は、討論会ということで、参加者が意見を述べあう形で進められた。用意されたレジュメには、図書館が広報する対象とは?、や対象者ごと(学生・教官などの利用者、職員 etc.)に考えられる広報の手段は?、など、討論のための材料が豊富に提供されており、たいへん有効であった。また、参考文献として 『図書館広報実践ハンドブック : 広報戦略の全面展開を目指して』を紹介された。

 討論のなかで、広報の対象としては、直接的な利害関係者(=ステークホルダー)に加えて、世論や政府、海外向けなど、より広い対象が挙げられた。
 利用者向けの広報手段では、京都大学総合人間学部の 『読書案内』企画や同じく工学部の『工学情報をgetしよう』 など、独自の取り組みも、それぞれの関係者から紹介された。図書館からの情報発信に際しては、まず図書館に親しみをもってもらうための統一デザインの必要性なども上げられた。また、「口コミ」の重要さの指摘もあり、カウンターでの応対など、「図書館員の一人一人が広報である」という意見には、大きく頷かされた。職員間の広報では、業務上の情報流通が少ないことの問題提起やメーリングリストやwebを併用するといった媒体の効果的な使い方について、意見が交わされた。「広報の手段・対象は様々あるにしろ、まず"何を図書館は伝えたいのか"が大事なのではないか」との参加者による指摘があり、それが今回の討論会の結論となった。なお、討論の材料はまだたくさん残っており、時間切れが惜しまれたが、日常業務のなかで、新たな視点から考えていくきっかけにもなったと思う。

 今回の勉強会は、京大附属図書館の佐々木丞平館長もお忙しい中参加してくださり、多くの有意義なコメントをくださった。中でも「(教官は自分の研究が第一なので、なかなか全体のことまでは考えにくい)。大きなビジョンのもと、図書職員が具体的提案をまずは図書委員などにしていくことから始めてほしい。そこから、意見交換やプランの実現など、相互の発展的な関係が生まれる」「図書館は使わないととっつきにくい。親しみやすさも大事にしてほしい」といったご自分の経験からのご意見が印象に残ったし、図書館員と教官の間の実のあるコラボレーションのあり方について、深く考えさせられた。また、今回、館長と率直にお話ができたのは、既成の組織にしばられていないこの勉強会だからこそ、だと思う。いろんな枠を越えて交流でき、業務へのヒントを得られる機会としても、こうした場は、意味あるものなのではないだろうかと感じた次第である。

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Ku-librarians勉強会 第2回「工学部文献収集講座の報告 / 江上敏哲」他(1999年11月5日) まとめ・感想文

 「工学部文献収集講座」の全体像を、参加者の声など豊富な資料で、わかりやすく説明していただきました。

 この「講座」が必要になってきた背景には、教養教育課程の変化等の要因から、部局図書室が学習図書館機能を担う必要がでてきたことなどがあるのではと考えられます。そうした状況にはさまざまな評価が可能とは思われますが、今回のような取り組みは、より専門分化した利用者支援という観点からしても、専門図書館にしかなし得ない企画、という意味で大変有効なものであると思います。

 また、情報源情報の伝達という、本来図書館が果たすべき役割を取り戻すという視点からも、その意味するところは大きいはずです。さらに、関連分野同士という点で、サービスのスケールメリットを発揮しやすい図書室間での密な連携は、部局図書室が存在意義を示しうる方向性として、今後のあるべきモデルを示しているものと考えます。加えて、図書室サイドからの広報やプレゼンなど、ともすればこれまで弱かった分野に力を注がれていることも注目されます。例えば、アンケート回答から得た、利用者が見ているメディアは何かということや、有効なプレゼンとは何かという経験などは、図書系にとっても貴重な蓄積の一歩であるでしょう。

 今回のような講座は継続してこそ意味があるものでしょうし、一回きりの企画で終わらせてほしくないものです。また、こうした取り組みが京都大学図書館システムに広がっていくきっかけとなってほしいと考えます。

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変化の時代と大学図書館 : 本の紹介

「大学図書館問題研究会京都支部報」211号(2003/2)掲載 

 「本の紹介」の第二回目も、前回にならって、テーマに沿って何冊かの本に触れる形をとらせていただきたいと思います。並べた本からひねり出したこのテーマ、なんとか脱線せずに、最後までご紹介できていればいいのですが・・・。

 今、大学は大きな変化の中にあると言われる。もっとも、「変化」は今に始まったことではないし、これからも続いていくものであろう。しかし、さまざまな方向からの変化の波が、形や大きさを変えて打ち寄せているのは、どうやら確かなことのようである。
 『大予測10年後の大学:日本の大学はここまで変わる』1)
この本は、社会構造や経済構造の変動、「大学」に対する期待の変化などの状況のもと、日本の大学の今後を予想する。少子化による大学経営の危機、国立大学の法人化、授業形態のあり方など、複数の著者が多様なテーマを論じており、現在の大学をめぐるトピックを概観することができる。大学職員の役割は教員の下請けではなく、学生支援や大学と社会の関係作りを始めとして、大学経営におけるより積極的役割と企画・マネジメント能力が求められる、との指摘は、図書館にも無関係ではないだろう。

 変化の波の中で電子化・情報化の波は、図書館に既に直接的な影響を与えている。この波が、大学と大学図書館のあり方に与える影響を考察しているのが、次の本である。
 『デジタル時代の大学と図書館:21世紀における学術情報資源マネジメント』2)
本書は、図書館員に限らず、学長や研究者など多様な著者の様々な主張からなる論文集であり、論考の舞台は主にアメリカである。しかし、コスト面から図書館のこれからの方向性を考察する「伝統的図書館存続の危機と高等教育への脅威」、デジタル時代における図書館員の役割を示す「なぜウェブは図書館ではないのか」といった論文をはじめ、日本にも共通する問題提起は多い。原著のタイトルは、『継続性の蜃気楼』。「今起こっている変革のなかで、大学における旧来の枠組みの継続性は、幻なのではないか」というメッセージであるという。変化の波の中にあって、何が変わり何が変わらないのか、という視点で通読しても、これからの図書館のあり方、大学のあり方、図書館と大学との関係性において、示唆を得るところは多い。

 変化の中では、利用者像も常に同じではない。図書館がサービスを提供する組織である以上、利用者=顧客のニーズに応じて、サービス像も変化していくべきなのは言うまでもないだろう。
 『図書館の評価を高める : 顧客満足とサービス品質』3)
本書は、マーケティング手法を用いて、利用者の図書館に対する期待を把握する調査法、利用者の満足を指向するサービス・プラン策定やサービスに対するフィードバック評価のあり方などを解説する。また、「図書館の使命」であるミッション・ステートメントを明示する重要さを指摘し、これをサービス優先度の判断基準や結果の評価基準などに用いることで、図書館運営を裏付けるものとして位置づける。実際のミッション・ステートメントの例や各種調査票なども掲載されており、参考になるだろう。

 ミッションにもとづく組織運営のあり方を考えるための一例として、企業マネジメントのための内容になるが、次の本がある。
 『ミッションマネジメント:価値創造企業への変革』4)
第1章「企業経営とミッションマネジメント」では、「「存在目的と事業」「願望」「価値観」からなるミッション体系を企業の「意志」として活動のトップに据え、そこから導かれる戦略と方針を実行に移し、その結果を評価する」という、ミッションマネジメントの概要が説明される。つづく第2章「ミッションの設定」では、優れたミッション・ステートメントの要件が述べられる。もっともこうしたミッションマネジメントは、利潤という明らかな達成目標がないという点で、むしろ非営利組織にとって重要であることは、従来言われてきたところであろう。また国立大学には、「目標・評価」の仕組みとして、法人化後の運営体制に取り入れられようとしている。本書は、あくまで企業経営の文脈で語られており、すべてがそのまま図書館に適用できるものではないが、第1章と第2章で示される、ミッションマネジメントの大枠についてだけでも、得るところはあるように思う。

 以前、ミッション・ステートメントについて書いたおりに(大図研京都支部報No.208)、「図書館は「誰のために何をするか」を「外」に対してわかりやすく伝えてこなかったのではないか」といったことを述べた。変化の大きな時代において、「図書館とは何か・何ができるのか・なぜ図書館でなければならないのか」という自らの存在意義の確認、そして今後向かおうとする方向を明確に示すことは、図書館自身にとっての意味はもとより、設置母体である大学等を始め、図書館組織外部に対しても欠かせないものとなるだろう。「図書館をどう見せるか」という「戦略」が、いっそう問われているといえる。
 『図書館広報実践ハンドブック : 広報戦略の全面展開を目指して』5)
この本は、「広報」を図書館にとっての「戦略」と位置づける。そのうえで広報手段として、「中長期計画書」「図書委員会」といった組織レベルのものから、「投書箱」のような直接利用者に対するものまで、これらを効果的なものにするポイントを含めて、多くの実践的な例をあげる。そしてこうした広報を試みるとき、図書館の内部に立ちふさがる「カベ」の数々(これらは「所詮無駄」説、「教員無理解」説、「利用者=わがまま」説のように命名される)が、失敗の経験にもとづいて分析される。そこで各「説」を説得し、組織としての広報の実現へ導く方法を逐一示してくれるところが、「実践ハンドブック」たるもう一つの所以だろう。まずはできる手段から実践してみるための手引きとして、また大学の中でどのように図書館の存在を主張するかという外への視点、さらに図書館自らが変わるための図書館自身に対する内への視点を磨くきっかけとしても、なかなか充実の一冊ではないだろうか。

1) 『大予測10年後の大学 : 日本の大学はここまで変わる』 大学未来問題研究会編著 東京:東洋経済新報社, 2001.7 246p ; 21cm ISBN:4492221999
2) 『デジタル時代の大学と図書館 : 21世紀における学術情報資源マネジメント』 B. L. ホーキンス, P. バッティン編 ; 三浦逸雄, 斎藤泰則, 廣田とし子訳 町田 : 玉川大学出版部, 2002.3 370p ; 22cm. -- (高等教育シリーズ ; 112) ISBN:4472402661
3) 『図書館の評価を高める : 顧客満足とサービス品質』 Peter Hernon, John R.Whitman ; 永田治樹訳 東京 : 丸善, 2002.9 xiii, 225p ; 21cm ISBN:4621070851
図書館におけるマーティングについては、次に訳者をはじめとする論考がある。「特集:図書館のマーケティング」『情報の科学と技術』49(2):1999.2
4) 『ミッションマネジメント : 価値創造企業への変革』 アーサーアンダーセンビジネスコンサルティング著 東京 : 生産性出版, 1997.11 349p ; 20cm ISBN:4820116223
5) 『図書館広報実践ハンドブック : 広報戦略の全面展開を目指して』 私立大学図書館協会東地区部会研究部企画広報研究分科会編集 東京 : 日本図書館協会(発売), 2002.8 303p ; 21cm. --(企画広報研究分科会活動報告書 ; No.4) ISBN:4820402021

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シンポジウム「大学出版会と大学図書館の連携による「新しい学術情報流通の可能性を探る」」参加報告 : 大学出版会と大学図書館の連携を巡って考えたこと

「大学の図書館」 27(5)(2008/5)掲載

はじめに
 「デジタル環境下にあって、伝統的に学術情報流通の一翼を担ってきた大学出版会と大学図書館が、研究者、利用者のニーズに応えるために新たなる連携をすることは、果たして可能なのでしょうか?」 この問い掛けに始まるシンポジウム 注1)が、2008年3月12日(水)に、慶應義塾大学三田キャンパスで開催された。会場は定員を超える参加者でいっぱいであり、出版関係者、図書館員、教員など多様な顔ぶれも、テーマへの関心の高さをうかがわせるものであった。

「理念、仕組み、サポート」
 第1部は、3つの事例報告が行われた。
 現在、京都大学学術情報リポジトリ上では、京都大学学術出版会の出版物が、電子化され無料公開されている 注2)。鈴木哲也氏(京都大学学術出版会)は、出版ニーズの増大や大学教育の変質の指摘から説き起し、新しい学術コミュニケーションと出版ビジネスのあり方の可能性から、図書館との協働に至った背景を語った。とくに、「生業を越えて出版の理念を問い直す機会」として、図書館員との日常的な交流の意義を強調された。
 KOARA(慶應義塾大学機関リポジトリ)での学内出版物公開においては、慶應義塾大学出版会との連携のもと、学会と投稿規程見直しを行った上で、出版者・印刷会社を経たメタ・データ付きPDF ファイルを受け入れ、通常の図書館業務フローで処理するという、非常にシステマティックな「仕組み」を構築しているという。入江伸氏(慶應義塾大学メディアセンター本部)は、図書館がデジタル全文サービスのノウハウを構築する必要性を指摘しながら、出版サイドには、電子的出版を前提としたコンテンツ作成と技術整備を要望された。
 安修平氏((株)早稲田総研クリエイティブ)は、デジタル技術を活用して学内者に出版機会を提供するという同社の設立コンセプトを説明された。出版企画委員会が出版可否を検討し、市販する学術書とそれ以外の簡易版学術書および教科書にカテゴライズした上で、大学等からの費用負担という「サポート」を行って出版するモデルを想定しているとのことであった。
 以上の事例からもうかがえるように、デジタル環境下における出版と図書館との「連携」とは、両者の境目を曖昧にするものであるし、ときには両者の利害対立を伴う可能性もあるだろう。しかし、3つの事例は同時に、連携を実現するために必要な「理念」、安定的に動作させるための「仕組み」、継続性を担保するための「サポート」というポイントも示しているように思うが、いかがだろうか。

さまざまな視点、そして可能性
 続く第2 部は、図書館側として、東京大学、早稲田大学、慶應義塾大学の図書館(メディアセンター)の西郷和彦館長、加藤哲夫館長、杉山伸也所長、出版会側として、東京大学出版会の竹中英俊氏、慶應義塾大学出版会の小磯勝人氏、京都大学学術出版会の鈴木哲也氏によるパネルディスカッションが、東京電機大学出版局の植村八潮氏を司会に行われた。
 個人的には、連携におけるビジネスモデルに関する議論が交わされることを予想していたのだが、それに限られることなく、非常に多様な視点が提起される場となった。これは、図書館側のパネリストが館長だったことも一因かもしれないが、かえって「連携」を巡る様々な観点を意識させられることとなった。一つ一つ取り上げたいところだが、いくつかの論点の紹介に留めさせていただく。
・出版の役割
・大学出版会の変容の必要性
・媒体としての「本」の価値
・出版業界におけるデジタル化の遅れの問題
・出版者から見たリポジトリ収録に適合的なコンテンツの性格
・出版物をリポジトリで公開する際の費用負担や今後の継続的モデルのあり方
 強引にまとめるならば、デジタル化の潮流の中で「出版」の位置付けを問い直し、「本」の意義を再確認しながら、出版会の出版物をリポジトリに搭載するという具体例から、今後の連携の可能性を論議した、といったところだろうか。

 現在、学術情報のデジタル化に関して、商業出版社によるジャーナルの電子化を巡る昨今の動向は、多くの大学図書館にとって日常の課題であろうし、オープン・アクセスの潮流なども関心が高いところだと思う。一方、大学出版会の主要なコンテンツである学術書のデジタル化やビジネスモデルのありようは、「本」という媒体の性格からも、また大学出版会の拠って立つところからも、電子ジャーナルの世界とは同列に語れるものではない。そうした中、学術情報流通において本来近しい関係にある大学出版会と大学図書館の連携の試みは、デジタル化をキーにして始まったばかりである。そしてこうした状況は、アメリカでも変わりはないようだ。例えば、AAUP (Association of American University Presses) はARL (Association of Research Libraries)と、相互の連携を図る共同キャンペーンを行っており、複数大学での様々な連携事業の取り組みが紹介されている 注3)。言うなれば、ありうべきモデルを探る試行錯誤の段階と言えよう。
 また、Ithaka が発表したレポート "University Publishing In A Digital Age" 注4)では、大学出版会にデジタル化対応を求めるとともに、大学出版会と大学図書館相互の強みを活かし、弱点を補いあった上での連携の必要性を説く。かつ、この報告が連携を成功に導くためのポイントとしてあげるのは、資金の導入であり、学術コミュニケーションを巡る視点の共有であり、大学執行部との関わりであり、そして、組織や機関を超えた協働の重要さといった諸点である。以上は、このシンポジウムでの論点に通じるものであろう。

おわりに
 さて、今回のシンポジウムのテーマもまさにその一つであるが、最近、出版人によるデジタル化環境における図書館との関係性や連携の可能性への問いを目にする 注5)。いま、図書館員に求められているのは、等しく学術情報流通を支える者として、こうした問い掛けに応えていくことではないだろうか。

注1) シンポジウム案内ページ. http://www.ajup-net.com/top/0803sympo.shtml (accessed 2008-04-30)
注2)  「京都大学学術情報リポジトリと京都大学学術出版会との連携について」. http://www.kulib.kyoto-u.ac.jp/modules/bulletin/article.php?storyid=248  (accessed 2008-04-30)
注3) 2004:Year of the University Press. http://aaupnet.org/arlaaup/index.html (accessed 2008-04-30)
注4) 学術情報のデジタル化時代を生き抜く大学出版会の戦略とは?. カレントアウェアネス-E. 111 [2007.08.08]. http://current.ndl.go.jp/e679 (accessed 2008-04-30)
注5) ・橋元博樹. 学術情報流通における大学図書館と大学出版:AJUP の取り組みから. 現代の図書館. 45(1). 11-18. [2007.3]
  ・山本俊明. アメリカ型大学出版モデルのゆくえ:「デジタル時代における大学の学術情報発信」(イサカ報告)をめぐって. 大学出版. 74. 2-11. [2008.3]
  ・鈴木哲也. 知のコミュニケーションの核としての共同:学術情報リポジトリと大学出版会(京都大学の試み). 大学出版. 74. 21-27. [2008.3]
  ・植村八潮. 学術情報流通システムの再構築に向けて:大学出版部の役割. 情報管理. 51(1). 69-73. [2008.4]. http://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/51/1/51_69/_article/-char/ja (accessed 2008-04-30)
  ・日本出版学会2008 年度春季研究発表会特別シンポジウム「デジタル時代の図書館と出版」. http://www.shuppan.jp/event/event08S.html (accessed 2008-04-30)

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「人文・社会系分科会」参加報告「初年次教育におけるアカデミック・リテラシー教育から図書館利用教育へ」から

「大学の図書館」28(12)(2009/12)掲載

[大学図書館問題研究会 第40回全国大会(2009年) 主題別第1分科会(人文・社会系)]

 「初年次教育におけるアカデミック・リテラシー教育から図書館利用教育へ」と題したご講演を、高崎経済大学の高松正毅先生よりいただいた。一般に「初年次教育」は、生活面のスキルや講義の受け方に始まり、リサーチ・スキルから発信スキルに至る多様な内容で構成されているという。
 こうした初年次教育が必要とされるようになった背景について、学力低下問題に止まることなく、社会構造や社会風潮、さらにはコミュニケーションの有り様の変化など、多面的な切り口から論じられた。ついで、自ら考え表現する能力を大学生に必須とし、論文を書くことで身につけさせる高崎経済大学経済学部の科目「論文の読み方・書き方」の例を紹介された。

 続いて、参加者による各図書館の取り組みの紹介と意見交換が行われた。講演でも『図書館利用教育ガイドライン』が例示されたが、初年次教育のひとつであるリサーチ・スキル、つまり、図書館および各種ツール等の利用法は、従来、図書館で利用者教育として取り組まれてきている。そして、発信スキルを取り上げる例も現れてきている。しかしながら、高松先生が今後の課題として、カリキュラム等と連動した図書館利用教育との連携を挙げられたように、初年次教育と図書館の有機的な連携例は少ないようだ。
 そこで、会場の現職教員からの「教員は研究中心になりがちであり教えるプロではない。図書館員は教育にも積極的に関わるべき」とのコメントには、意を強くした。また、教員との連携の前提として、高松先生は、まず「教員に対する図書館利用教育」が求められることやパスファインダー等の整備の必要性を指摘された。

 今回の分科会は、大学の教育における図書館の積極的な取り組みの必要性とともに、そこでは、大学教育のあり方に自覚的な教員との協働が大きな力になることを感じた。

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本の紹介 『はじめてのSQL : 基礎からはじめるデータベース操作』 萌木尨 技術評論社(1996)

 サーバから必要なデータを好きな形で取り出せたら、と思ったことはありませんか?そんなときに使えるのが、「SQL(データベースを操作するための言語)」。『はじめてのSQL』はタイトルのとおり、SQLの基本をしっかり教えてくれる本なのです。

 コンピュータの入門書というと、入門とは名ばかりで、詳細な説明に入りこんで、分厚くなってしまっていたり、かと思うと、あまりにありきたりのことしか書かれていなくて、実際にやりたいことには役に立たなかったり・・・。
 この本がすごいのは、これこれのことをしたいときにはどうするか、という実例に即しながら(豊富な画面例がついてます。かわいいイラストもね)、SQLの基本の機能をしっかりマスターできること。並み居るコンピュータHowto本のなかでも、なかなか出色モノなのです。また、Oracle7(サーバのデータベース)とAccess97(皆さんお使いのAccessも裏側では、SQLが動いているのですよね)、それぞれに対応して同じ用例で解説してくれているのも、たいへんお役だちです。
 SQLとはどういうものか、何ができるのか知りたい方、また、たまにしか使わないので、いざという時にSQL構文を確認したい方にもお奨め。SQLなんかばりばり使いこなせるよ、という方には物足りないかも知れませんが、そういう方向きの類書はたくさんありますので。

 そして、私がこの本が好きないちばんの理由は奥付にある、著者萌木尨さんの自己紹介文。
 「遅筆のライターにしてグータラママ。最近まで某ソフトハウスのスーダラ社員でもありました。」 そう、『はじめてのSQL』はそんな萌木さんのちょっとたのしくて、やさしい本なのです。
 赤いカバーの薄い本です。本屋さんで探してみてください。

 *現在、サーバにクライアントから直接SQLを使うことはできません。今後は可能になると思われます。

 初出「書評する司書の会(仮)

※10年前に書いた本の紹介。もう絶版だろうけど。K大図書館システム、今は、エンドユーザがSQL叩けるインタフェース、持っているのかな。

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