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2010年8月

ku-librarians勉強会 「討論会:図書館と広報について考える」

ku-librarians勉強会 第40回(2003/1/31)

 当初、「広報=(Public Relations)」の定義が確認された。"PR"というと、「宣伝」という言葉に結びついて、一方的なイメージを持っていたが、元来、「相互の良好な関係づくりを目指すために行う、双方向性を持つもの」であるということが確認できたことは、「広報」の意味を捉えなおすきっかけになった。「PRの方法」は、以前、勉強会MLでも話題になったこともあったが、今回は、討論会ということで、参加者が意見を述べあう形で進められた。用意されたレジュメには、図書館が広報する対象とは?、や対象者ごと(学生・教官などの利用者、職員 etc.)に考えられる広報の手段は?、など、討論のための材料が豊富に提供されており、たいへん有効であった。また、参考文献として 『図書館広報実践ハンドブック : 広報戦略の全面展開を目指して』を紹介された。

 討論のなかで、広報の対象としては、直接的な利害関係者(=ステークホルダー)に加えて、世論や政府、海外向けなど、より広い対象が挙げられた。利用者向けの広報手段では、京都大学総合人間学部の 『読書案内』企画や同じく工学部の『工学情報をgetしよう』 など、独自の取り組みも、それぞれの関係者から紹介された。図書館からの情報発信に際しては、まず図書館に親しみをもってもらうための、統一デザインの必要性なども上げられた。また、「口コミ」の重要さの指摘もあり、カウンターでの応対など、「図書館員の一人一人が広報である」という意見には、大きく頷かされた。職員間の広報では、業務上の情報流通が少ないことの問題提起やメーリングリストやwebを併用するといった媒体の効果的な使い方について、意見が交わされた。「広報の手段・対象は様々あるにしろ、まず"何を図書館は伝えたいのか"が大事なのではないか」との参加者による指摘があり、それが今回の討論会の結論となった。なお、討論の材料はまだたくさん残っており、時間切れが惜しまれたが、日常業務のなかで、新たな視点から考えていくきっかけにもなったと思う。

 今回の勉強会は、京大附属図書館の佐々木丞平館長もお忙しい中参加してくださり、多くの有意義なコメントをくださった。中でも「(教官は自分の研究が第一なので、なかなか全体のことまでは考えにくい)。大きなビジョンのもと、図書職員が具体的提案をまずは図書委員などにしていくことから始めてほしい。そこから、意見交換やプランの実現など、相互の発展的な関係が生まれる」「図書館は使わないととっつきにくい。親しみやすさも大事にしてほしい」といったご自分の経験からのご意見が印象に残ったし、図書館員と教官の間の実のあるコラボレーションのあり方について、深く考えさせられた。また、今回、館長と率直にお話ができたのは、既成の組織にしばられていないこの勉強会だからこそ、だと思う。いろんな枠を越えて交流でき、業務へのヒントを得られる機会としても、こうした場は、意味あるものなのではないだろうかと感じた次第である。

勉強会まとめページ(リンク付)

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図書館のサービスと著作権保護との関係について

 講習会提出レポート(2005/11) 

 図書館は、著作物を収集・蓄積し、利用に供することで、新たな著作物の生産に貢献することをその機能としている。そこにおいて、図書館のコレクション構築のあり方として、すべての図書館が、利用の見込まれるすべての著作物を収集できることが、理想ではある。しかし、収納スペースの問題はもとより、高騰する学術出版物価格や減少する図書館予算などの状況においても、それは不可能である。そこで、自図書館に所蔵していない資料の複写物等を他図書館より取り寄せ、利用に供する、ILL(Inter Library Loan)のシステムは、現在の図書館機能における著作物の利用および学術情報の流通と生産にとって、不可欠のものとなっている。

 さて、このILL における送付手段としてのFAX やインターネット送信は、複写物現物の送付に比して、送料や入手時間におけるパフォーマンスの点から、利用者に益するところは大きい。また、殊に情報の速報性を求める、理工系を中心とする研究分野においては、必要性が高いサービスとなる。

 一方、こうした送付手段は、現在、公衆送信権の対象である。そこで、「図書館のサービスと著作権保護との関係」の一例として、大学図書館における、ILL サービスでのFAX 等による著作物送付と公衆送信権保護との関係および課題を整理してみたい。まず、上述のサービス実施において、権利者の許諾を要さないケースとしては、
 ・著作者の死後50 年経過等の該当要件により保護対象外のもの
 ・著作者の許諾が明示されているもの
 ・「同一の構内」での送信
などがあげられるが、これらに該当するケースは、きわめて少ない。そこで、現在、大学図書館団体と学術出版系著作権管理事業者(JAACC およびJCLS)が、無償許諾契約を結ぶことで、両事業者の管理著作物については、ILL サービスでのFAX 等の使用が可能となっている。ただし、大学図書館側には、
 ・著作権の適正な管理
 ・エンドユーザへの紙媒体複製物のみの提供と中間複製物の廃棄
 ・一定以上利用のあった資料の購入努力義務
等の条件が付されていることに、留意が必要である。

 以上の合意スキームに基づく運用として、大学図書館におけるILL の依頼実務では、「自大学構成員から取寄依頼のあった著作物について、FAX 等での送付が可能かどうか、管理事業者のweb サイト等で確認する。可能であればその旨を依頼先図書館へのコメント欄に記述の上、依頼する」というフローが想定される。

 ところで、この際の確認作業であるが、現状では、JAACC、JCLS 両事業者を確認する必要がある。また、両者ともweb 上で管理著作物の検索システムを提供しているものの、簡略なものであり、検索の仕様は十分とは言い難い。その上、確認対象の著作物が、ヒットしないケースもしばしばである。こうした状態は、管理事業者が分立しており、著作権処理の窓口が複数あることおよび管理対象の著作物が少ないこと等に起因すると考えられる。しかし、このような問題は、少なくとも著作権処理窓口を統一化することによって、一定の解決を図ることができると思われる。またそれにより、図書館以外の利用者も含めて、権利処理における負担を減少させることで、著作物の適正な利用を促進させ得るだろう。よって、これらの課題については、権利者(管理事業者)側における権利処理体制の早急な整備が望まれる。

 なお、近年、理工系を中心とする海外の学術雑誌の多くは、電子ジャーナルとして提供されている。これらの主な出版者は、契約条項において、ILL サービスで掲載論文をプリントアウトしたもの等を電子的に送付することを許可している。このため、公衆送信権とILLサービスの関係上、出版媒体の違いに起因するとはいえ、同一出版者の同一コンテンツの利用における「ねじれ」が生じていることも指摘しておきたい。

 さて、大学における研究・教育活動では、日常的に著作物が生産され、かつ利用されている。そこでの大学図書館は、著作物の生産と利用の接点をなしている。つまり学術情報流通の「現場」にあるものとして、著作物を生産する側と利用する側、それぞれの実際をよく知る立場にある。よって、「図書館のサービスと著作権保護との関係」において、大学図書館が著作権制度を理解し、適正なサービスを提供すべきなのはもちろんである。その上で、大学図書館は、学術情報流通の現状に対応した、望ましい著作権制度の構築に対する責務も、同時に負っていると言えよう。

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[CMコピーから図書館の三題話]

「大学図書館問題研究会京都支部報」222号(2004/2)掲載 「京都支部委員『新年度の抱負』より

 今年は国立大学にとって、「国立大学法人化」という、半世紀以上ぶりともなろう、制度上の大きな変化の年です。これから実際にどのように変わっていくのかは、現在でもなかなか見えてきません。ですが、まずは昨年の自身を振り返りつつ、近年の企業CM コピーをお借りして、反省と思うところを三題。

 「変わらなきゃも変わらなきゃ」(某自動車メーカーCM)
 法人化を間近に控えても、「どうせ今までと変わらない」、「わざわざ今までのやり方を変える必要はない」と、つい思ってはいないか? 「変わらなきゃ」と思いながらも、これまでやってきたことをあえて変えることは、しんどいことかもしれません。そこで自分を振り返るに、「先生方が納得しない」ことや「今のやり方で間に合っている」ことを言い訳に、よりよくすることをさぼっていないか、反省するところがあります。ちなみに某自動車メーカーは、自らで変わることができず、業績悪化の果てに、社外資本からトップを迎えて、外からの力で「変わった」とか。それが、その組織にとって本当に望ましい形への変化だったのかは、分かりません。

 「オー人事、オー人事」(某人材派遣会社CM)
 やりたいことができないこと、変えるべきことを変えられないことを、環境のせいにしていないか? このCM は、「上司や部下、職場に恵まれなかったら、当社に電話して」という内容なのですが、「図書館員」であろうとするなら、いきなり人材派遣会社に登録して転職を図る、ということは、たぶんないと思います(笑)。ならば、現状でよしと割り切るのでなければ、自分から現状を変えるしかないはずです。ところが、「上司が決めることだ」とか「先生に言われたら対応しよう」というように、いつのまにか「指示待ち症候群」に陥っていないか、反省するところがあります。気が付いたら、自分自身が「オー人事」コールをされないように。

 「宅○便、一歩前へ」(某宅配便会社CM)
 私は今、京都大学に在籍していますが、京都大学の図書館の課題として、「図書館が分散していて、学生・院生さんが使いにくい」、「図書館に資料が少ない」、「図書館が主体的にマネジメントできない」等々のことが言われます。ところが、過去の図書館員の文章を読むと、同じようなことは、何十年も前から言われているのです。もちろん、今の図書館のあり方に、それぞれ意義があるのは言うまでもありません。しかし、図書館員が常々言っている、利用者が本当に使いやすい図書館に、そもそも本気で、自らなろうとする気があるのでしょうか。とは言うものの、自身に何ができているのか、反省するところがあります。さて、大学図書館を巡る、近年のそしてこれからの様々な変化にあたっては、「きっとこれまでと変わらない。今のままでよい」とも言えますし、一方、「よりよい図書館に、一歩近づくチャンスが来ている」と考えることもできるでしょう。そこで、絵に描いた餅になりがちな「新年の抱負」ではありますが、コピーの拝借ついでに、まずは言ってみたいと思います。
 「図書館、一歩前へ」。

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